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妻の名は塔子 花弁を唇に近づけて

妻の名は塔子。私の知らない女

 妻の名は塔子。私の知らない女。

 蝸牛のように私は舌を進めた。沼地に顔を顕した生きものが私の表情を窺っている。

  思えば安らぎとは程遠い感情の中にいる“嫉妬”という波に溺れ私はまた固くした。

 私の知らない女が別の生きもののようにそれを呑み込んでいる。

■photo by Koki Nishida

※週刊ポスト2016年9月9日号

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