「ぼくは今回の大統領選については誰とも話したことがない。共和党大会にも呼ばれなかったし。でもそれはよかったよ」
今作の主演、トム・ハンクス(60才)も、熱心な民主党支持者として知られているが、「撮影中は政治について話し合うことを避けるようにしている」という。
「なぜなら、そういう話って人々の感情をすごく乱してしまう。だからぼくらは目の前にある仕事についてだけ話すんだ。ぼく自身、誰を支持するかわからない。トランプとヒラリー、どちらにも夢中じゃないからね。
もし今回の大統領選を映画にしなければならなくなったら、ぼくは自分を大統領役にするよ。もちろんトランプを演じるわけではない。ぼくは彼よりもずっといい仕事ができるからね(笑い)」
かつてイーストウッドはカリフォルニア州カーメルの市長を務めていたが、その自負は、今年才を迎えた現在も衰えていない。
「イーストウッドには負けていられない」
そう話し生涯現役を望むハリウッドセレブは多いが、日本でも5月に亡くなった演出家の蜷川幸雄氏(享年80)が、事あるごとにイーストウッドを意識していた。とはいえ、静かな老後に憧れないのだろうか?
「映画界を引退? そんなこと、考えたりしないよ。とは言っても、時々思いがけないものを忘れるシニア・モーメントはあるんだけどね」
そう言って、最後はチャーミングに笑ってくれた。
◇『ハドソン川の奇跡』9月24日(土)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリー他 全国ロードショー 巨匠クリント・イーストウッド監督×主演トム・ハンクスのアカデミー賞コンビが贈るヒューマン超大作。大惨事から全員の命を救った機長・サリーは、なぜ一夜にして容疑者になったのか…。史上最大の航空機事故の裏に隠された実話が描かれる。
撮影/Yoshi Ohara
※女性セブン2016年9月22日号