昔の雑誌は、ほぼ一方通行に近かったようです。もちろん投書やアンケート、抗議の電話は受け付けますが、そこまでする人って、熱心な読者か記事を掲載された当事者ですよね。第三者である読者の多くはただ雑誌を買って読むだけ。でもそれが、素晴らしく有益な情報だったから、丸く収まっていたのです。

 時は移って現代。今はSNSが普及し、双方向に意見を言い合えます。ユーザーの感想、インプレッションが、評価の大事な判断材料になっています。そして、運営側が間違ったことや、危うい方向に向かったら、即座にユーザーが反応するので、セーブ機能が働きます。ただ意見は、常に賛成意見と反対意見があるので、SNSの意見ばかり気にしていると、運営側は思い切ったことができなくなる恐れもあります。ここが難しいところでしょう。

【3】匿名性の問題

 日本は匿名で意見を言う人が多いですね。マズい、つまらないと書かれてしまうと、それだけで営業妨害になりかねません。店側もたまったもんじゃないです。「じゃ、あなたは、どれだけの数の店を食べ比べて、マズいと言うんだ?」と、反論したくもなるでしょう。匿名の人で、批評と悪口の違いをよく分かってない方も多いようですし。

 というわけでグルメ評価サイトは、新たな転換期を迎えていると思います。まずもって、紹介する店が多すぎます。大手のチェーン店や地元の食堂とか入れてどうするの。評価が追いつかないし、評価してもしょうがないでしょう。

 加えて評価が細かすぎる。5段階評価の小数点以下までの点数評価をするところがありますが、オリンピックの体操の点数じゃないんだから、細かすぎです。ミシュランすら3段階しかないのですよ。

 そして広告と評価の、はっきりした区別をすべきです。

 ちなみに、私はゴルフ場の評価サイトをよく見ますが、一部の連中の低評価が名コースのランクを落とし、こっちから見れば「分かってないなあ…」という気分です。ちなみに自分の著書の書評も、書評サイトで一部の人にですが的外れな低い評価をされて、へこみました…。

 とまあ、ネットでみんなが好き放題評価するのは勝手ですが、取りまとめや編集がとても難しい。余計な情報が多すぎ、真の求める情報が埋もれてしまうのです。誰か簡潔で明解な評価サイトを作ってくれませんか? 「求むネット界の花森安治」って感じでしょうかね。


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