「虫の知らせ」とは、『大辞泉』によれば〈よくないことが起こりそうであると感じること〉。「よくないこと」の最たるものとして、「身近な人が死ぬ予感」という意味で使われることが多い。
2012年、NPO法人・プライマリヘルスケア研究所が「家族や親しい人の臨終に居合わせなかった経験がある人」を対象にアンケート調査を実施した。その結果、207人中87人、実に42.0%が「虫の知らせ」があったと回答したのだ。
「虫の知らせ」には、「亡くなる人物が自分の死をテレパシーのように伝えている」という説があるが、ヴァージニア大学のイアン・スティーブンソン教授は、英国心霊研究協会やアメリカ心霊研究協会などによる報告事例などを、著書『虫の知らせの科学』にまとめた。その中で、
〈意識にのぼらないところで、超感覚的プロセスを介した感情の重要なやりとりが、大半の人間同士の間で四六時中行われており、おそらくは、われわれの情動や行動に相当な影響を与えていることは想像に難くない〉
として、「テレパシー説」を後押ししている。