一般社団法人日本看取り士会代表で、これまでに約200人の人を看取ってきた柴田久美子氏の話。
「仕事柄でしょうか、虫の知らせの話はたくさん見聞きしてきましたし、私自身も不思議な体験をしました。
ある夜、入院中の母が私の名前を呼ぶ声が聞こえたんです。『母のもとに行かなくてはならない』と直感し、すぐに支度をして病院に向かっていると、その電車の中で兄から母の危篤を知らせる電話が入りました。
『もう向かってるから』と伝えると兄はとても驚いていました。到着したときにはすでに母の意識はありませんでしたが、看取ることはできました」
悪い予感は外れるに越したことはない。しかし、「虫の知らせ」がプラスに働くことだってある。悪いことと決めつけずに、前向きに「虫の知らせ」と向き合うことも必要なのかもしれない。
※週刊ポスト2016年9月30日号