「父としての尾崎豊とステージ上の尾崎豊は全く違うと母は言っていました。もっとおちゃめで、優しくて、誠実で、とても目がきれいで…。アーティストとしての彼と比べた場合、少なくとも僕は何かを演じている部分はないかな。等身大のまま、日常を歌っていきたいですから。父が窓ガラスを割るタイプだとしたら、僕は全力で磨くタイプ(笑い)。
もちろん、父の歌は今も大好きだし、父の歌声にそっくりだと言われるのも嬉しい。その上で自分らしさを追い求めていきたいです」
“尾崎豊の息子”であることを丸ごと受け入れた上で、尾崎裕哉として前に進む。この本を書き終えたことは裕哉にとって努力し続けてきた証でもある。
「本でいちばん伝えたかったのは、人はみな、誰かの二世なんだということ。僕の場合、たまたま歌手の二世というだけなんです」
自叙伝の最終ページには、父とのツーショットが掲載されている。場所は遊園地。幼い裕哉の後ろで、尾崎豊が父親の顔を見せていた。
※女性セブン2016年9月29日・10月6日号