米国主導からの脱却という点では、転機となり得る可能性はある。昨年12月、日本マクドナルドホールディングスの筆頭株主である米マクドナルドが持ち株の売却を検討していると報じられたからだ。売却比率は33%分に及び、1000億円規模になるとの観測まで出た。
ところが、それから10か月が経とうとしている現在まで、売却先は決まっていない。当初は国内外の投資ファンドや大手商社の名も取りざたされていたが、どこまで交渉が進んでいるかも不明なままだ。前出の日本マクドナルド役員でさえ「米国本社には守秘義務があり、われわれ日本の役員にも一切報告はない」と話す。
市場関係者からはこんな噂話が聞こえてくる。
「マックの株価は個人投資家が下支えしているので、業績が良くても悪くても高値圏のまま。そのうえ米本社が提示している額が強気で、なかなか交渉が成立しない。
ただ、いくら収益が落ち込み不採算店を閉鎖しているとはいえ、日本のマックはまだ3000店を有する巨大チェーン。振るわない資源分野より食料事業を強化したい商社にとっても、まだ資本参加を諦めたわけではないだろう」
当然、米本社の占有比率が下がれば、日本独自のオリジナルメニューを提供できる裁量も増すことになる。いずれにせよ、マックが完全復活を遂げるためには、“マッククオリティ”のさらなる向上が不可欠だ。