しかし、リスクを認めつつも、今回取材した医師は皆、「緑内障の手術はするべき」と口をそろえる。なぜなら、それは「最後の手段」であるからだ。平松さんが続ける。
「もちろん、手術を受けずに済めばいいのですが、目薬では効果がない状態をそのままにすると失明してしまうため、やむなく手術に踏み切るケースがほとんどです。リスクはありますが、手術以外の方法がないのです」(平松さん)
では、そのリスクを少しでも回避するためにはどうすればいいのか。大鹿さんはこう語る。
「医師の腕前がかかわってきますので、まずは主治医に緑内障の専門医を紹介してもらうこと。緑内障患者団体のネットワークもあり、会員同士で情報交換もできるので、利用するのも方法でしょう」(大鹿さん)
ここで強調しておきたいのは、たとえ手術をしても緑内障は治らないことだ。
「あくまで病気の進行を止めて失明を避けるための手術で、成功しても病気が治ったり、視野が広がるわけではありません。手術で目が見えるようになる白内障の手術とは全く違うのです。術後にまた病気が進行すれば、再手術もあります。一回緑内障になれば、手術をしようがしまいが、一生病気とつきあう必要があるんです」(平松さん)
自覚症状のないこの病気を早期に発見する唯一の手段は眼科での検査だ。
「今は検査の性能も上がっていて、眼底カメラなどで調べてみれば、緑内障を早期に発見できます。早く見つかれば、点眼薬の治療で進行を止めることができ、手術をする必要はありません。40才以上ならば、2~3年に1回は眼科で検査を受けてほしいですね」(平松さん)
※女性セブン2016年11月10日号