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【書評】猪木vsアリ戦を仕掛けた伝説の「怪人」が語る

【書評】『虚人と巨人』/康芳夫監修・平井有太著/辰巳出版/本体2500円+税

【監修者】康芳夫(こう・よしお)/1937年、在日中国大使侍医の中国人父と日本人母の次男に生まれる。東京大学卒業後、呼び屋となる。著書に『虚人のすすめ 無秩序を生き抜け』(集英社新書)、『虚人魁人康芳夫 国際暗黒プロデューサーの自伝』(学習研究社)。

 奇想天外な仕事ぶりに、謎めいた人物像や異形の風貌が相まって、「怪人」と呼ばれてきた康芳夫氏。〈すべてを超越した、「世を睥睨するスフィンクス」〉と自称する。

 1960年代から70年代にかけて呼び屋、プロデューサーとして活躍し、「アラビア大魔法団」「インディ500マイルレース」「謎の類人猿オリバー君」の招聘、「ネッシー捕獲探検隊」の結成、日本におけるモハメド・アリのヘビー級試合、アリvs猪木戦の興行などを手掛けた。かの『家畜人ヤプー』を世に送り出した人物でもある。

 本書は、その康氏と著名人との対談、康氏が交流のあった著名人について語ったインタビューなどをまとめたもの。一部を除いて多くは過去に雑誌に発表されたものの再録だが、それでも退屈するページは1ページもない。

 特に、当初は康氏のことを危険人物だとして警戒していたらしい三島由紀夫に始まり、東大のイベントに呼んだのが縁で付き合いが始まり、後に「ネッシー探検隊」の総隊長を買って出た石原慎太郎、飲み仲間で「怪人」「怪優」と呼び合った勝新太郎らとの交遊録は、世間を騒がせた出来事の内幕も語られ、非常に面白い。「あれなんだけど、実はこうでさ……」と酒場で内幕話を聞くのに似た軽い高揚感を味わえる。

 付録として1972年に武道館で行われたモハメド・アリのヘビー級試合のカタログ、1969年に雑誌「血と薔薇」に掲載された『家畜人ヤプー』(一部)の復刻版、作者沼正三の生原稿を収録。ちなみに、伝説の怪人は最近、ドラマ「ディアポリス 異邦警察」(MBS)、映画「ディアポリス-DIRTY YELLOW BOYS-」(9月3日公開)に俳優として出演した。

※SAPIO2016年11月号

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