最新作『続・深夜食堂』は11月5日より全国公開
「最新作の自分の姿を見たとき、顎の下とか年を取ったな、と思いました。まぁ最初から若くはなかったけどね。ただ、料理を運んでくるたびに、けつまずくという爺さんのマスターであっても、面白いといっちゃ、面白いと思うんですよ(笑い)」
年とともに、プライベートでの酒の飲み方も変わってきたという。
「昔は、プライベートのときは一切役者さんや監督とはつきあわなかったんです。デザイナーやコピーライターと酒を飲んでいた。でも、60歳近くになってから、もう一度、どっぷりと役者の世界に浸ってみなきゃダメだと思うところもあって、一緒にお芝居をやった若い役者さんと飲みに行く時間をつくっている。芝居の話はしなくても、役者的な時間の中にもうちょっと身を置いたほうがいいかなと思うから」
芝居への情熱は、老いてもなお増しているということなのだろう。小林薫のクロニクルに、『深夜食堂』シリーズがどんな足跡を刻み続けるのか、期待は尽きない。
●こばやし・かおる/1951年生まれ。京都府出身。1971~1980年、唐十郎主宰の劇団「状況劇場」に在籍し、1970年代後半から映画やドラマに多数出演。2007年の映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』で第31回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。『深夜食堂』では、TVシリーズ版、劇場版と主演を務め、最新作『続・深夜食堂』が11月5日より全国一斉公開。
■取材・文/一志治夫
(C) 2016安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会
※週刊ポスト2016年11月11日号