【3】1997年「IT革命」、2017年「AI革命」
1995年の「ウィンドウズ95」発売以降、世界中にパソコンとインターネットが普及してIT(情報技術)革命が起こり、世にITバブルが到来した。当時のIT株は、「テンバガー」どころではなかったと、マーケットバンク代表の岡山憲史氏は話す。
「1997年に上場したヤフー株は初値200万円が2年後に6億円になり、ソフトバンクの株価も100倍以上になった。ITの黎明期に先見性のあった投資家は、大きな果実を手にした」
現在はテクノロジーがさらに進化し、AI(人工知能)の研究が進む。将来的には自動運転車や介護ロボットなど、「AI革命」に関連する市場が急拡大すると予測される。
「AI革命は新しい産業を生むだけでなく、既存の産業を活性化するため、内需企業も潤います。人件費などのコストを抑え、生産性を上げて、小売業などの企業収益を向上させるメリットもある。いまの低金利の状況では、AIやビッグデータを利用する分野への投資がさらに進むと考えられます」(前出・竜沢氏)
【4】プロだけが見る「キチン循環」も同じ
投資の世界には「在庫循環」と呼ばれる指標がある。これは企業の在庫の量の「増減」にはルーティンがあり、それによって景気が上向いたり、下向いたりすると定義している。その周期は「約40か月」。提唱者の名を取り、「キチン循環」とも呼ばれる。
「過去の経験から、在庫循環が復調局面に入ることが株式上昇のサインになっています。今回はいままさに在庫調整が終わって、株が上がる転換点を迎えようとしています。20年前も同じ状況でした」(同前)
竜沢氏は、これらの要素が絡み合い、1997年とよく似た「風景」を作っていると指摘する。これには、第一生命経済研究所首席エコノミストの永濱利廣氏も同調する。
「企業業績が堅調かつ低金利であることは1997年当時と似ています。現在は先進国を中心に金融緩和を行ない、ジャブジャブのお金が業績堅調な企業の株に流れやすくなっています」
竜沢氏は「今は絶好の投資機会と考えています」と力を込める。
※週刊ポスト2016年11月18日号