でこぼこの山道から氷の張った道まで、険しい道をいかに短時間で走り抜けるか──。「ラリー」はそのタイムを競い合う自動車競技。雨の日も電灯のない夜道も、限定された区間はスピード無制限で走るため、危険はつきもの。この競技に47才で初挑戦したのが、モータージャーナリストの竹岡圭さんだ。
「モータースポーツに惹かれたのは子供の頃、多摩テックのゴーカートに乗ってから」(竹岡さん、以下「」内同)
以来、車への興味は高まり、モータージャーナリストに。モータースポーツ全般に興味があり、サーキットレースにも参戦していたが、その一方で、30才頃から「いつかはラリーに」という思いがあったという。
「ラリーは、自分と自然との闘い。もともと、自分の限界に挑戦するのが好きだったし、ラリーは経験がものをいうスポーツなので、60代のドライバーも活躍しているんです」
とはいえ、簡単に挑戦できるものではない。競技用に改造した車の費用やメンテナンスをしてくれるスタッフや大会参加費用などで年間費用は千万円単位。これを全部自己負担しなければならない。
「そろそろ、老後の資金を貯めなきゃという時ですけど、やらないで後悔したくなかった。もちろん老後は心配だけど、それを考えたら何もできない。そう思うと、ラリーへの挑戦が仕事へのモチベーションにもなりました。そうしているうちに今春から更年期障害を発症し、体も心も変化して…。モヤモヤを吹き飛ばすにはラリーだ!と思い切ったんです。そして、どうせやるなら、日本最高峰の全日本ラリー選手権に出ようと、腹をくくりました」
今年はトレーニング期間で、来年から5年計画でラリーに参戦するという。
「自動車競技の世界は男社会。“女のくせに”と差別されることもありますが、楽しいから苦にならない」と言う竹岡さん。どんな困難があっても、「ラリーに出たい」「車やモータースポーツを日本の文化にしたい」という思いで頑張れると続ける。
来年2月から始まる全日本ラリー選手権での活躍が期待される。
※女性セブン2016年12月1日号