ビジネス

トランプの貿易政策、日本車の関税引上げはほとんど意味なし

大前氏はトランプ政策をどう見る?

 米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利し、次期大統領に内定してからというもの、これからの日米関係や経済がどうなるのか、盛んに論じられている。様々な経済政策をトランプ氏は開陳しているが、果たしてそれはどんな効果をもたらすのか。経営コンサルタントの大前研一氏が、トランプ流の保護主義的な貿易政策について解説する。

 * * *
 アメリカのドナルド・トランプ次期大統領とニューヨークのトランプ・タワーで会談した安倍晋三首相は「トランプ氏は、まさに信頼できる指導者だと確信した」そうである。しかし私は前号で、トランプ氏は大統領選挙中の公約をほとんど実現できない可能性が高く、もし公約通りの政策を実行すれば、アメリカと世界は大混乱に陥るだろう、と述べた。

 たとえば、トランプ氏は貿易政策について「就任初日にTPP(環太平洋経済連携協定)から離脱する」「NAFTA(北米自由貿易協定)の再交渉ができなければ脱退する」などと極めて保護主義的な姿勢を示し、日本に対しても「日本がアメリカ産牛肉に38.5%の関税をかけ続けるなら、我々も日本車に同率の関税をかける」と主張している。

 しかし、日本自動車工業会の統計によると、日本の自動車メーカーはアメリカで約385万台(2015年)を現地生産している。一方、オートデータの統計によれば、日本の主要自動車メーカーのアメリカにおける新車販売台数は約657万台(同)である。つまり、すでに日本の自動車メーカーはアメリカで新車販売台数の6割近くを現地生産しているのだ。

 関税が高くなったら現地生産を増やせばよいだけなので、トランプ政権が日本車にアメリカ産牛肉と同率の関税をかけたとしても、ほとんど意味はないのである。

関連キーワード

関連記事

トピックス

岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン