椿油で作った、ひと箱1万円もする、琥珀色が美しい高級固形石けん「椿うるおい」(260g木箱入り:横約8.2×縦15.7cm×高さ5.6cm、1万800円)が話題になっている。造っているのは福岡県久留米市の石けんメーカー「まるは油脂化学」。代表の林眞一さんは、開発の経緯をこう話す。
「長崎の五島を訪れた際、無農薬栽培の椿の実を使い、昔ながらの玉締め圧搾法で造られる、琥珀色の美しい椿油にひと目ぼれしました。これを使って、創業77年の集大成といえる石けんを造りたいと思ったんです」
開発をスタートさせるも難航。通常の固形石けんは、常温で固まる油脂で造られているが、椿油は常温ではあめ色に透き通る液体のため、従来の方法で造ると、溶けやすい石けんになってしまう。そこで、石けんの劣化につながる酸化を防ぎ、無駄に溶けない石けんを造るため、何度も試作を繰り返し、約3年かけてベストの油脂配合を探し出した。
「椿油を“釜だき”して造った石けん素地に、肌に最適な成分であるはちみつやスクワランオイルなどを贅沢に配合。他の石けんとは違い、大きな枠に流し込み、何度も何度も丁寧に練り込む“枠練り”で造っていますが、はちみつがたっぷり入っているので、時間が経つと分離してしまう。そこで、石けん素地が冷えて分離しにくくなるまで“枠練り”を繰り返し、均一にしています。その後、長期熟成を経てさらに低刺激な石けんができ上がります」(林さん)
誕生した「椿石けん」を取引先に贈ったところ大好評で、2010年4月に「椿うるおい」として一般販売を開始。棒状タイプの他、50g〈紙箱〉2592円もある。
高純度の無添加石けんは、ゆっくり自然乾燥させているので、形はややいびつになる。だが、切り口に見られる、木の年輪のような石けん層からは、妥協なく造られた職人技が感じられる。おしゃれな木箱入りで贈り物にも最適だ。
◆作り方
【1】主原料は、長崎五島の天然ヤブツバキから作られる椿油。
【2】“釜だき”により、職人が目や舌で状態を確認しながら石けん素地を作る。
【3】枠練工程を経て、ステンレス製の枠内で丁寧に枠練りし、約1週間冷却して固化。木枠に移してピアノ線でカットする。
【4】刻印を押した後、約2か月半乾燥&熟成させると、型崩れしにくく持ちがよい石けんが完成。泡立ちもまろやかで肌にやさしい洗い心地だ。
※女性セブン2016年12月8日号