「利尿剤は尿酸や糖、脂質の代謝にも影響するため、高尿酸血症や糖尿病を誘発したり、悪化させるなどの副作用がある。尿酸値が上がれば治療をしなければなりません。これに比べてARBは非常に副作用が少ないといっていい」
ただし、大きな“弱点”があることも事実だ。ARBは「アンジオテンシンII」というホルモンに直接作用する。アンジオテンシンIIには「血管を収縮させる」、「血液量を増やす」という血圧を上げる2つの働きがあるため、これらを抑えることで血圧を下げる仕組みなのだが、その効果には個人差がある。
「ARBはアンジオテンシンIIを体内に多く持つ人には非常に良く効きます。逆に、このホルモンが少ない人にはあまり効き目がない。症例ごとに効果のばらつきが大きいのも、ARBの特徴なのです」(同前)
このホルモンは若い人は多く分泌されるが、高齢者になると分泌量が減るという特徴がある。それゆえARBは、「若年から中年の人にはよく効くが、70代以上の人には効きにくい傾向がある」(同前)のだ。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号