国内

AV出演強要「騙された私のギャラは1.5万円でした」

普通にモデルの仕事をすると聞いていたのに…

 女性が被害者になる事件が起きると、必ず被害者を非難するような論調の発言を正論だと叫ぶ勢力がいる。だが、自分は被害者とは違うと非難する彼らもきっと、卑劣で手段を選ばない加害者の手にかかれば、簡単にだまされてしまうだろうとライターの森鷹久氏はいう。主に女性をターゲットとした容赦ない搾り取り方と、さらに新たな手口を備えつつある現状を森氏がリポートする。

 * * *
 2016年6月、女性を無理やりアダルトビデオ(AV)に出演させたなどとして、都内の芸能プロダクションの元社長ら3人が逮捕された。この事実が明るみになったことで、人権系のNPO団体をはじめ、現役AV女優や関係者らからも声が上がり、多くのメディアが事件を取り上げたことを覚えている方も少なくないだろう。

 被害者女性に同情的な声が多数を占める一方で、「女性も悪いのでは?」といった意見が散見された。彼女たちの多くは大人なのだから、仕事を放棄することだってできたはずだという、すなわち「無知な」被害女性に非があると考える人たちの言い分だ。だがそれは、あくまで、相手が普通に話が通じるまともな人間の場合にしか通用しないやり方だ。ところが女性に原因を求める人たちには、人を陥れるためなら何でもやる人間がいることを知らない。そして、卑劣な人間と対峙する難しさも知らない。

 本当なら被害者を救済する場所であるべき世間からも、容易には受け入れられない。残酷な現実をつきつけられ、自分が被害に遭ったわけでもないのに筆者は暗い気持ちにさせられた。

 それというのも、出演強要の被害に遭った女性たちは、筆者にとって、実は身近な存在だからだ。ティーン向けファッション誌の編集者だったころ、モデルとして登場してもらった女の子たちのうち何人もの人が被害に遭った。さらに出演強要していた側には、アウトロー系雑誌編集者時代に取材や企画で協力してもらった人間やその周辺者がいるからだ。

 被害者の女性たちに騙された原因をヒアリングすると、風俗関係者やアダルトビデオ関係者側の、極めて卑劣な手法が浮かび上がってくる。

 その手法は実に様々であるが、どのパターンにおいても共通するのは「弱者を狙い撃ちにして、搾取するもの」であることだ。その典型的なパターンとも言える卑劣な手法に引っかかってしまったマリカ(27・仮名)が明かす。

「十代で結婚し出産、二十代の始めで離婚。元旦那からは養育費は一銭ももらえず、パートや親の援助などでなんとか食いつないできました。唯一の楽しみは、ネットを通じて知り合ったシンママ(シングルマザー)サークルに参加すること」

 元旦那から約束されたはずの養育費がもらえず、苦しく孤独な生活の中に潤いを与えてくれた「シンママ」サークル。当初はどこにでもあるような数名規模のアットホームなサークルであったが、次第に人数が増え、某テレビ局の取材を受けるまでになった。サークルの代表に取材話を持ちかけてきたのは、自称芸能事務所関係者のXだった。

 Xと旧知の仲である人物は、Xの表の顔と裏の顔について次のように説明する。

「Xは”仕出し屋”といわれる存在。テレビや雑誌に出てくれるエキストラや素人さんを集める仕事をしていますが、これは表の顔。裏では、女衒まがいのことや、女の子を風俗業者に紹介することもやっています。裏で稼いだ大金を、テレビ制作会社や編集者の接待など表の仕事でガンガン使い、業界と太いパイプを築いたのです」

 芸能事務所関係者を名乗るXとも自然に知り合いになっていたマリカの元に、程なくXとXの知人を名乗る人物から「モデルかタレントに興味はあるか?」との連絡が舞い込んできた。マリカには十代の頃にステージモデルの経験があったが、芸能活動といえるほどではなく、一児の母である今、まさか芸能活動を始めようとは微塵も思っていなかった。Xの強引な勧誘が始まったのはそれからだ。

関連キーワード

トピックス

「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
人の出入りが多く流行っていたという火災があったサウナ店
《夫婦が閉じ込められ…》月額39万円の高級サウナ店での火災でサウナーたちに広がる不安 彼らはなぜ\\\\\\\"避難シミュレーション\\\\\\\"を議論するのか
NEWSポストセブン
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン
日高氏が「未成年女性アイドルを深夜に自宅呼び出し」していたことがわかった
《独占スクープ》敏腕プロデューサー・SKY-HIが「未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し」、本人は「軽率で誤解を招く行動」と回答【NHK紅白歌合戦に出場予定の所属グループも】
週刊ポスト
世間を驚かせたメイプル超合金のカズレーザー(41才)と二階堂ふみ(31才)の電撃“推し婚”
【2025年・有名人の結婚&離婚を総決算】何かと平和な「人気男性タレントと一般女性の結婚」、離婚決断が女性からの支持につながった加藤ローサ
女性セブン
米倉涼子
《米倉涼子の自宅マンション前に異変》大手メディアが集結で一体何が…薬物疑惑報道後に更新が止まったファンクラブは継続中
火事が発生したのは今月15日(右:同社HPより)
《いつかこの子がドレスを着るまで生きたい》サウナ閉じ込め、夫婦は覆いかぶさるように…専門家が指摘する月額39万円サウナの“論外な構造”と推奨する自衛手段【赤坂サウナ2人死亡】
NEWSポストセブン
自らを「頂きおじさん」と名乗っていた小野洋平容疑者(右:時事通信フォト。今回の事件とは無関係)
《“一夫多妻男”が10代女性を『イヌ』と呼び監禁》「バールでドアをこじ開けたような跡が…」”頂きおじさん”小野洋平容疑者の「恐怖の部屋」、約100人を盗撮し5000万円売り上げ
NEWSポストセブン
ヴァージニア・ジュフリー氏と、アンドルー王子(時事通信フォト)
《“泡風呂で笑顔”の写真に「不気味」…》10代の女性らが搾取されたエプスタイン事件の「写真公開」、米メディアはどう報じたか 「犯罪の証拠ではない」と冷静な視点も
NEWSポストセブン
来季前半戦のフル参戦を確実にした川崎春花(Getty Images)
《明暗クッキリの女子ゴルフ》川崎春花ファイナルQT突破で“脱・トリプルボギー不倫”、小林夢果は成績残せず“不倫相手の妻”の主戦場へ
週刊ポスト
超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”だった高橋麻美香容疑者
《超有名“ホス狂い詐欺師風俗嬢”の素顔》「白血病が再発して余命1か月」と60代男性から総額約4000万円を詐取か……高橋麻美香容疑者の悪質な“口説き文句”「客の子どもを中絶したい」
NEWSポストセブン