フランスを拠点とする前出のケイ氏は、「欧州の投資家たちも、日本企業に高い関心を寄せている」と断言する。
「日本には実績があるのに知名度が低く、株価が過小評価されて割安な“お宝企業”が多い。優秀な日本企業と同じ職種の欧米企業を比較すれば株価の“お得感”は歴然です。
例えば日本の重機メーカー『コマツ』と米国の『キャタピラー』を比較すると、コマツは世界シェアで上回るうえ増益基調ですが、キャタピラーの利益は横ばいです。ところがPBR(株価純資産倍率)などの株式指標で計算すると、コマツはキャタピラーより株価が3~4割も割安です。
2012年に米国の『グッドマン』を買収した後、世界一のエアコンメーカーになった『ダイキン』も同様です。そうした日本企業に注目し、長期的に投資しようという投資家が増えている」
海外投資家の事情に詳しいパルナッソス社チーフ・ストラテジストの宮島秀直氏も外国人投資家による割安な日本株選好の傾向を指摘する。
「私が11月から1か月間に訪問した168社の欧米の大手投資機関のうち、159社が日本株に投資していた。その7割以上が、日本株をPBRの低い銘柄から選定していると回答しました」
また、日本人投資家の“弱気”を外国人投資家は“信頼”していると前出・松井氏は指摘する。
「欧米では“期待”が株価上昇の最大の原動力だが、日本では多くの投資家が経済成長に懐疑的であり、日本株市場には期待による株価上昇がほとんどありません。株価上昇の主な要因は企業の利益成長です。そのため、外国人投資家は日本株市場の上昇を信頼している」
バブルのような“期待”ではなく、実体を伴った「利益成長」がベースにあるため、日本株市場の上昇は「さらなる上昇」を導くのだ。これこそ外国人が憧れる「黄金の国」の最大の強みである。
※週刊ポスト2017年1月1・6日号