もちろん、2016年の大ヒットを生み出した3人の監督の次回作からも目が離せない。
「片渕監督は前作から7年と時間が空いてしまいましたが、アニメの場合、おおよそ2~3年に一作ぐらいのペースで劇場作品を発表する監督が多いです。『この世界に~』の大ヒットで、ベテランの片渕監督の次回作は、もっと短い間隔で見られるようになるのではと期待しています。
新海監督は、今後もおそらく思春期の人へ向けた作品を生み出していくのではないでしょうか。人は誰でも思春期だったころがあるので、過去の体験をもとに楽しめる作品だったのが『君の名は。』でした。これまでは、男性の内向きのロマンチシズムが強く描写されていたので、新海作品は人によって大きく好みが分かれました。『君の名は。』ではその部分が薄らいでいたので、幅広い支持を得たと思います。今後、どのような方向へ変化していくのかが気になりますね。
山田監督は、アニメーション業界でのキャリアが十年と少しくらいなのですが『映画けいおん!』(2011年)、『たまこラブストーリー』(2014年)、そして『聲の形』と3作品も監督しています。作品の特徴として、描く女の子たちが、アニメのキャラクターとしての人気も出るんだけれども、リアリティがあって嘘もついていない。いつも女性中心のチームで制作にあたる影響でしょう。次に何をするか、目が離せない監督のひとりです」(藤津さん)
そして、監督ではないが、次にどんな作品を生み出すのか目を離せない人がいると藤津さんは続けた。
「川村元気プロデューサーです。川村さんはいま、アニメ映画にとても注目しています。そして『君の名は。』を大ヒットさせ、今年の夏には岩井俊二監督のドラマを原作としたアニメ映画『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を公開すると発表しました。
川村さんが次、どんな監督と仕事をするのかは気になるところです。おそらくテレビシリーズとは連動しない、オリジナル企画の映画になると思うので、監督の作家性が色濃くでた面白い作品が見られると思います」(藤津さん)
世界初の長編アニメーション映画がつくられてから100年を迎える2017年は、これまでと少し違う角度から、アニメ映画を選んでみるのも面白い。