エキストラの枠を超え、オーディションを経て本格的に“俳優”を目指す人もいる。タレント養成学校のテアトル・アカデミーでもここ数年、中高年の応募が目立つという。入学金27万円、レッスン料月額1万6000円が必要になる。決して安い金額ではないが、それでも上を目指す人がいるのだ。
橋本龍三さん(63才)は、大手化学メーカーを退職後、この道を選んでオーディションを受けた。
「演技指導を受けると、できないことができるようになってくる。それが喜びです」
神田智子さん(60才)は、50才で大病を患い、7か月ほどベッドから離れられない生活を余儀なくされた。快復してきた頃に、たまたま新聞で募集広告を見て、オーディションを受けた。
「合格してレッスンに通うようになると、体力がつきましたし、気分も明るくなってきました」(神田さん)
自分なりに演技を工夫するところにも面白さを見出している。
「あるドラマでは、かかってきた電話を私が取って『店長!』と呼びかけて渡すシーンがあったのですが、迷惑な電話であることを表情と声で表現したところ、監督に『すごくいい』と褒められました」(神田さん)
やりがいを得られ、収入も得られるというこの仕事だが、最近は人気に便乗して、中高年に多額の金銭を払わせながら、仕事を与えない悪質な業者が増えているという。情報サイト『東京エキストラNOTES』運営者で、自身もベテランエキストラである柳澤健二さん(62才)はこう指南する。
「エキストラ募集のはずが、『オーディションを受けてレッスンを』と言われ、多額の金銭を求められたら、考えた方がいい。俳優志望ならまだしも、エキストラが本格的なレッスンを受けることはありませんから。ホームページにこれまでのドラマや映画の実績が書いていない会社も敬遠した方がいいですね」
普段会えない人と会え、なかなかできない体験ができるのは大きな刺激となる。あなたも一考してみては。
※女性セブン2017年1月26日号