新築マンションの投げ売りは、じっとマイホーム購入のタイミングを見計らっていた人にとっては絶好のチャンスといえる。だが、値引き額に飛びついて“安かろう悪かろう”の物件を掴まされないとも限らない。すでに、その兆候はある。

「東京23区の新築マンション平均価格は前年比1.5%のダウンで6629万円と、下落が始まっているように見えるかもしれませんが、実はそうではありません。1平方メートル当たりの単価をみると、100.5万円と前年比で1.8%上昇しています。つまり、グロス価格の低下は、部屋の面積の圧縮によるもので、見せかけの数字にすぎません。

 それにごまかされないためにも、周辺マンションと比較した相場観や、1平方メートル単価をきちんと把握する必要があります。東京カンテイのホームページでは沿線別の坪単価などチェックできる部分もあるので、しっかり勉強しておきたいところです」(山下氏)

 もちろん坪単価や部屋の広さだけでなく、中身をしっかり見極めることも大事だ。山下氏が続ける。

「マンションであれば性能表示制度を利用している物件を選んで、基本性能を確認してほしいと思います。

 耐震性、耐久性、断熱性・機密性などの基本的な部分で最高等級を取得した物件でないと、実際に住むうえで快適とは程遠く、いざ売却しようとしたときにも評価額が格段に低くなります」

 何よりも、賃貸ではなく、マイホーム購入の必要性やメリットを十分に認識しなければ、いくら投げ売りで手に入れられたとしても損する結果になるだろう。

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