国際情報

立命館大学の中国人教授、中国国内で3か月以上消息不明

学会出席のため上海を訪れた直後に消息不明に

 立命館大学の中国人学者、周イ生教授(56)が2016年10月下旬、学会出席のために上海を訪れたあと、3か月にわたって消息不明になっていることが分かった。中国当局によって拘束されているか、あるいは事件に巻き込まれた可能性がある。同年12月末に立命館大学が明らかにした。

 周教授は浙江省出身。学生時代に日本に留学し、博士課程を取得し、立命館大学で環境問題について教えている。同大では中国政府が積極的に開設を推進する中国語の学習機関「孔子学院」の初代院長を務めたほか、2007年に来日した温家宝首相の同大視察の実現に大きな役割を果たしたといわれるほど、中国共産党指導部に食い込んでいることでも知られる。

 このため、周氏をよく知る大学関係者は「周氏が、仮に中国当局によって拘束、取り調べを受けているとなると、よほどのことに違いない」と頭をひねる。

 これまでにも日本の大学で教鞭をとっている中国人学者らが北中国に入った後、一時消息不明になった例がある。

 2013年には周氏同様、日本在住の中国人学者である朱建栄・東洋学園大教授が、2014年には神戸大学の王柯教授、昨年3月には趙宏偉・法政大教授が中国で一時消息不明になったが、すでに日本で自由の身だ。

 また、中国では一昨年から日本人男性3人と女性1人の計4人が逮捕され、スパイ罪で起訴されていることが分かっており、裁判を待っている状態だ。

 これほど、日本人や日本関係者の拘束や逮捕が続くのは習近平指導部が発足してからで、「海外の反中国勢力」の流入を警戒し、取り締まりや監視を強めている。

 2014年11月にはスパイ行為を具体的に定義した「反スパイ法」が施行。国内外の組織や個人が国家の安全に危害を及ぼす活動や、国家機密を詐取するなどの活動をスパイ行為と定めており、人権活動家や人権弁護士、市民の権利の履行を主張するNPO法人などが、中国政府の諜報機関である国家安全部などの監視対象になっていると伝えられる。

 北京の消息筋は「周教授が消息不明になってから、もう3カ月以上が過ぎている。事件に巻き込まれたのならば、何らかの手掛かりで出てもおかしくない。周教授も何らかの言動がもとで、当局からスパイの疑いがかけられている可能性が強い」と指摘している。

関連キーワード

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン