「役人が質問者に確認に行くことを“質問取り”と言います。質問する側にとっても、政府側の姿勢を聞いておくほうが有利ですから、双方にとって大切な準備になる」
そのうえで、質問に対する答弁を各省庁の担当者が書くことになるわけだ。元大蔵・財務官僚で、小泉内閣で竹中平蔵経済財政担当大臣補佐官、第一次安倍内閣で内閣参事官を務めた経済学者の高橋洋一さんの話。
「課の部下に書かせることもありますが、書くのは一応、各省庁の担当の課長です。書き終えたら自分の電話番号も添えて、担当部署経由で秘書官に送るのが原則。秘書官がわからないことがあったら、電話で聞けるようにしておくためです」
こうして当日の朝までに原稿が首相や大臣の元に届けられ、本人が確認したうえで“本番”を迎えることになる。
「私が補佐官をしていた時は、各担当部署から届いた答弁を夜中に読んで、朝、担当者の大臣説明に同席していました。1日の国会で何百という質問があるので、想定問答のペーパーの厚さは5cmとか10cmになる。そんなに覚えるのは無理ですから、紙に書いたものを読むのはしかたがない」(高橋さん)
◆靖国参拝と野党批判はアドリブがほとんど
質問の通告は、1999年の与野党合意で「2日前の正午までに行う」というのがルールになっている。だが、質問する側の準備が間に合わないなどの理由で、締め切りが守られることはほとんどなく、通告が前日の深夜になることも珍しくない。
「そのために役人が夜中まで働かされるという実態がある。政府が“働き方改革”と言っているのに、これでいいのか、という声があるのも事実です」(伊藤さん)
では、もし質問を通告しなかったらどうなるのか。