寒い日が続くが、立春が過ぎて暦の上では春。4月の転勤、進学、就職シーズンを前に、引っ越し業界は繁忙期を迎えている。物件の入れ替わりが激しく、料金も値上がりするこの時期、上手にすませて、ステキな新生活を始めたい。そこで損をしない引っ越し術を、不動産のプロに聞いてみた。
子供や孫が引っ越すときは、転校先の評判が気になるもの。不動産投資コンサルタントの長谷川高さんは、「学校に聞くのがいちばん」とアドバイスする。
「教育委員会に電話して新しい住所を伝え、『この住所の校区の学校と、その雰囲気を知りたい』と相談すると、学校名と電話番号を教えてくれます。学校に問い合わせると、『学級崩壊のクラスがある』などと、具体的に答えてくれることもあります」
また、引っ越してからのトラブルを回避するために、近隣環境も調べておくと安心だ。その際、頼りになるのは近所のお年寄りだと長谷川さんは言う。
「事情を話して『○○から来た○○ですが、この辺りは住みやすいですか?』と聞くと、『あそこにごみ屋敷がある』などと、教えてもらえるケースがあります」
契約当日、担当者から渡される契約書と重要事項説明書。その場で説明を受け、よくわからないまま判を押す…なんてことはあってはならない。
「大事な書類なので、事前に読んでおいた方がいいです。遅くとも契約する1日前にメールやFAXで送ってもらうようお願いしましょう」(長谷川さん)
特に重要事項説明書は、文字通り、重要な事項が書かれている。耐震基準や、事故物件の情報が書かれているのもこの書類。自分が借りたい物件と内容に齟齬がないかをチェックしよう。
不動産サポートオフィス代表の秋津智幸さんが説明する。
「鉄骨造りのマンションだと思っていたら木造アパートだったとか、ペット可と聞いていたのに不可だったとか、ケーブルテレビがついていると思ったらついていないなど、聞いていた話と説明書が全然違うことがあります。自分が契約しようとしている物件で間違いがなければ、判を押す。その場でやめることもできます」
長谷川さんも注意を促す。
「重要事項説明書は、ある意味不動産業者を守る書類でもあるのです。判を押すと、後になって聞いていなかったと言っても、『書いてあるのを了解して押したでしょ?』と言われてしまう。読んでみてわからなければ遠慮なく質問してください」
家賃が10万円で敷金・礼金1か月分なら、1年間住むために払う金額は、140万円になる。高い買い物なので、慎重に検討しよう。
※女性セブン2017年3月2日号