──宗教離れが進む日本にあって、生長の家も信徒数は減少傾向にある。戦後の最盛期に300万人と言われた国内の信徒数も、現在は約52万人に減った。こうした現実をどう受け止めているのか。
谷口:1995年のオウム真理教事件以降、日本社会には“宗教は悪いもの、怖いもの”というイメージが広がり、なかなか宗教団体のメッセージが世の中に伝わりにくくなりました。生長の家を含め、宗教団体の社会への影響力は確実に落ちていると思います。
しかし一方、東日本大震災や昨年の熊本地震などでは、多くの若者が被災地にボランティアとして駆けつけました。またパワースポットがブームとなり、神社仏閣などを訪れる人も増えているといいます。彼らは特定の宗教団体に入信しているわけではないのでしょうが、慈悲の心や未知なるものへの探究心といった“宗教心”を持っているのだと思います。
その意味では決して将来を悲観視していません。生長の家も従来型の布教活動だけでなく、個々人の趣味を通した活動や、地域コミュニティの形成といった、新しい輪の広げ方を模索していきたい。信徒さんは多いに越したことはありません(笑)。
●たにぐち・まさのぶ/1951年東京都生まれ。第2代総裁、谷口清超の次男。青山学院大学法学部卒業後に渡米。コロンビア大学大学院で国際関係論を学ぶ。同大学院修了後、産経新聞記者を経て1990年に生長の家副総裁に就任。日本国内にとどまらず、海外でも積極的に生長の家の教えを宣布し、教団の国際化に尽力した。清超の死去に伴い、2009年3月に第3代総裁就任。
【生長の家】1930年創設。初代総裁は谷口雅春。神道、仏教、キリスト教など諸宗教の教えに加え、近代哲学や心理学を融合させた教えが特長。戦後は「反左翼」運動を推進し政治色を強めたが、1983年に政治活動を停止。近年は宗教的理念に基づくエコロジー活動に注力する。教団が公表する信徒数は国内約52万人、国外約99万人。布教施設は国内外に440か所。(いずれも2014年12月末現在)
※SAPIO2017年3月号