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白内障手術で危険な眼内レンズが使われ続ける理由と深い闇

モールディングレンズには使用後10年で白く濁るものも

 白内障は60歳以上の6割、80歳以上のほぼ100%が発症するといわれる。現代医学において、「白内障は手術をすればほぼ100%治る」といわれる。しかし近年、「手術によってかえって視力が低下した」というケースも頻出している。

 白内障とは、目の中で“カメラのレンズ”の役割を果たす「水晶体」が加齢とともに白く濁る病気のこと。一度濁った水晶体は元に戻らず、手術で水晶体を除去し、そこに眼内レンズ(人工の水晶体)を挿入する。眼内レンズには、遠くか、近くかのどちらかでピントを合わせる単焦点レンズと、近くにも遠くにもピントが合う多焦点レンズの2種類がある。

 問題は、「眼内レンズの品質」だ。通常、白内障の手術では眼球を小さく切開し、そこから小さく折り畳んだ眼内レンズを挿入する。そのため、レンズの素材は柔らかいタイプが好まれる。

「『挿入しやすいレンズ』として開発されたのが、柔らかいアクリル素材を型に流し込む方法(モールディング)で製造されたレンズです。しかし、この素材は使用期間が経つにつれて、水が染み込む。そのため、眼内レンズが濁って白内障と同じ状態になります。実質10年が寿命で、5年で視力が低下することもあるレンズなんです」

 15万件超という世界トップクラスの眼科手術実績を誇り、欧米の医師から“世界一の眼科医”と呼ばれる深作秀春・医師このタイプのレンズは、形状にも危険があるとは指摘する。

「このレンズを用いると尖ったエッジ(端)が虹彩の裏をこすってしまうことがあり、炎症が起きる症例が多発しました。炎症によって眼圧が上がり続発性緑内障のリスクが生じ、失明の危険すらあります。ゆえに米国眼科学会で大きな問題になり、このモールディングレンズの使用に警告を出しました」

 現在はレンズの改良が進んでいるものの、濁りの問題は依然として解消されていない。

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