「青山スポーツ」駅伝特集号は箱根駅伝の沿道でも配布された


 華やかな活躍を続ける駅伝取材に携わるのに、なぜ、定期刊行が難しくなったのか。

「人手不足です。でも、これは青学だけの現象ではないようです。毎年2月に行われている、関東と関西の大学スポーツ新聞による交流会の東西合宿に出たとき、一部の大学をのぞいて、最近は活動人数の不足に悩まされているところが多いと聞きました。学生が一人もいなくなったけれどスポーツ新聞発行を継続させたくて、大学側がプロに外部委託して継続しているところもあります。

 もうひとつ、いまの大学生は紙で記事を読むことに慣れていないことも原因のひとつかもしれません。なんでもスマホで読んでいますから。でも、私は学生が取材してつくる『紙の新聞』だから意味があると思っているので、青スポに新しいメンバーが加わってほしいと心から願っています」(前出・長尾さん)

 確かに、インクの匂いがたつ紙面には独特の味わいがある。自分が通学する大学への愛着と、レイアウトが魅力的なスポーツ新聞の紙面を楽しむ気持ちは、強い言葉で良さを表現しづらいあたりが似ていると言えそうだ。

 大学スポーツ新聞の発行形態は様々で、【1】大学に公認され発行予算が計上されるクラブ、【2】体育会本部に直属し必要経費もまかなわれる組織、【3】公認はされているが費用の大半を広告や定期購読料で補うサークル(愛好会)、【4】完全独立採算で小さな企業のような規模になっている編集部などがある。

 青スポの場合は【3】のサークルタイプのため、記者が広告掲載の営業もしている。ちなみに、1990年代に第8号まで発行していたころは、【2】の費用集めの苦労がなく、取材と編集制作だけに専念できる公認組織だった。

 そのため、取材に執筆、編集に広告営業とやることが山のようにある長尾さんだが、悲壮感とは無縁で、同じ時代に同じ大学で頑張る学生たちを取材して応援できるのが楽しいという。

「もともとはサッカーが好きで、サッカーについて書きたいなと思って加わりました。実際に取材をしてうれしかったのは、取材の際に『ありがとう』とよく言われることです。きっと、たくさんの人に応援してもらいたいのだろうと思います。せっかく青学にいるのなら、同じ大学の頑張っている人たちの様子を少しでも多くの人に知ってもらって、応援する人を増やしたい。そう思いながら、取材して記事を書いています」(長尾さん)

 物理と数学を専攻している長尾さんは、マスコミ志望ではない。

「青スポの先輩をみても、マスコミに就職する人は少ないかもしれないですね。でも、人に話を聞いて、それを記事に書くということを通して、自分の思いを言葉にする難しさ、そしてその大切さを、ものすごく考えるようになりました。これからは、青スポを読んでもらうことはもちろん、一人でも多くの人に加わってもらって、一緒に新聞作りを通して学生スポーツの魅力を伝えていきたいです」(長尾さん)

 4月になったら、『青山スポーツ 新入生歓迎号』がキャンパス内に配置される。大学生でなければつくれないスポーツ新聞に新メンバーが加わり、来年の箱根駅伝号外号が発行される日が来ることを祈ろう。

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