◆「僕は出たがりでもなんでもなく、むしろ出たくないんですよ」
──関心や興味はあっても、オシャレに対してハードの高さを感じている男性も少なくないと思います。イケメンでもない俺がオシャレしていいのだろうか、とか。こうした男性にどうアドバイスされますか?
MB:だから僕が着ているんです(笑)。サイトでも本でも僕はモデルを使いません。自分で服を買ってきて、自分で着て、自分で書くという一人三役をこなしている。ファッション誌のように、モデルさんが高い服を着て、スタジオでプロのカメラマンが撮影して、その結果カッコいいのは、ビジュアルとしては美しくても、一般人とは距離がありすぎますよね。それでは意味がないと思うんですね。
僕は出たがりでも何でもなくて、むしろ出たくないんですよ。それでも出るのは、体型に難アリの僕でも、それなりになるんですよ、というのを見せて納得してもらいたいから。ある意味で未完成なところがあるから、愛されているのかもしれません。
──年齢を重ねるほど、いまさらオシャレに目覚めるのは恥ずかしい、という気持ちを抱く人もいると思います。シニア世代のオシャレのコツを教えてください。
MB:僕の読者さんは、30代から50代が中心で、60代、70代の人もけっこういらっしゃいます。第一に、歳を重ねるほどライバルが減るから、簡単にオシャレになれるんですよ。それからもう一つ、メンズファッションには、歳を重ねたほうが有利な点があります。
ファッションにおいて、レディースとメンズの基本ロジックは同じなんです。では何が性差を生むか、つまり女性らしさ、男性らしさを生むかと言えば、女性は「装飾」が求められ、男性は「自然さ」が求められるんですね。ドレス姿を見ると明らかなように、女性は必ずアクセサリーなどの小物をつける。対して男性は、スーツを見てわかるように、シンプルさが求められるんです。そういう違いがあります。
シンプルさが求められる男性の場合、若いときは肌も綺麗でシワもないから、どうしてものっぺりした印象になりがちなのです。それが歳を重ねるにつれ、顔に彫りが出て、シワが刻まれる。それらが奥行きとなって、シンプルな服を着ても、のっぺり見えなくなってくるんです。その結果、白シャツにスラックスをあわせるだけでカッコイイ、となる。だから男性には、これからの方がオシャレになる、と考えいただきたいですね。
──最後に、オシャレになると人生は変わりますか?
MB:オシャレであなたの人生は変わらないかもしれないけど、人生を助けることはできます。洋服で彼女を生むことはできないけれど、彼女と会って話しているときに好印象を与えることぐらいはできると。自分にとって助けになるなら、お金もかからないし、時間もそんなにかからないから、それだったらやってみたほうがよくない? 僕はそう思っています。
●MB/ファッションバイヤー、ブロガー。プロバイヤーとして活動する傍ら、2012年12月にWEBサイト「現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法 KnowerMag」(http://www.neqwsnet-japan.info/)を開設。男のオシャレをロジカルに語れる新しい存在として絶大な支持を集めている。著書に『最速でおしゃれに見せる方法』等多数