ライフ

【書評】「全共闘世代」の言い方は時代の代表を表していない

「青年の主張」出場者と話す浩宮様と紀宮様 共同通信社

【書評】『青年の主張─まなざしのメディア史』/佐藤卓己著/河出書房新社/本体1800円+税

【著者プロフィール】佐藤卓己(さとう・たくみ)/1960年広島県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学大学院教育学研究科教授。『「キング」の時代』(岩波書店。日本出版学会賞、サントリー学芸賞)、『言論統制』(中公新書。吉田茂賞)など著書多数。

【評者】鈴木洋史(ノンフィクションライター)

 かつて成人の日に放送されていた「NHK青年の主張全国コンクール全国大会」を覚えているだろうか。15歳から25歳が参加する弁論大会で、制服やスーツ姿の若者が直立不動で「私は! そのとき! 思ったのです!」と一文節ずつメリハリをつけて喋る。内容は、困難を克服した経験を披露し、明るい未来を切り開く決意を表明する、といった優等生的なものが多い。番組は見たことがなくても、タモリがやった形態模写を覚えている人は多いかもしれない。

 本書は、その「青年の主張」の歴史を丹念に辿り、戦後の「青年」像の変遷を考察した論考だ。

 大会は1954年度に始まっていったん1988年度に終わり、昭和から平成に変わると「青春メッセージ」と改編、改題されて2003年度まで続いた。古い時代ほど出場者には「勤労青年」「農村青年」や「勤労学生」「定時制高校生」が目立つ。象徴的なのは東大安田講堂の攻防が起こった1969年1月に開催された大会だ。第1位となった「新劇研究生」は友人と未来を語り合う喜びを語り、2位の「農業」に従事する女性は「農村婦人」の壁を打ち破るまで頑張る決意を表明し、3位の「女性会社員」は「敬老」の精神を訴えた。

関連記事

トピックス

店を出て並んで歩く小林(右)と小梅
【支払いは割り勘】小林薫、22才年下妻との仲良しディナー姿 「多く払った方が、家事休みね~」家事と育児は分担
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
岡田監督
【記事から消えた「お~ん」】阪神・岡田監督が囲み取材再開も、記者の“録音自粛”で「そらそうよ」や関西弁など各紙共通の表現が消滅
NEWSポストセブン
「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員。2020年1月(時事通信フォト)
《山口組新報にみる最新ヤクザ事情》「川柳」にみる取り締まり強化への嘆き 政治をネタに「政治家の 使用者責任 何処へと」
NEWSポストセブン
乱戦の東京15区補選を制した酒井菜摘候補(撮影:小川裕夫)
東京15区で注目を浴びた選挙「妨害」 果たして、公職選挙法改正で取り締まるべきなのか
NEWSポストセブン
愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
成田きんさんの息子・幸男さん
【きんさん・ぎんさん】成田きんさんの息子・幸男さんは93歳 長寿の秘訣は「洒落っ気、色っ気、食いっ気です」
週刊ポスト