◆親指の付け根への湿布は欠かせません
ふるさと納税に申し込んだ人で希望者全員にプレゼントしている、名前入りの将棋駒ストラップも好評だ。職人がひとつひとつ制作しているもので、一時は申し込みが多すぎて、9か月待ちになったこともあったとか。
その発送作業が行われているのは、ふるさと納税推進係の1階上の4階の6畳ほどのスペース。ここにも、書類やストラップが入った段ボールが山積みされていた。指サックをつけて1人黙々と封筒に入れる作業を続けていたのがパートの阿部米子さん。少しの間だけ作業の手を止めて、笑顔でこう話してくれた。
「駒には希望の文字を3文字まで入れられますが、希望している字と違うものが届いてしまったら大変。なので照合用のリストを見て、文字が合っているかどうかを確認し、さらにそのリストにある番号と封筒の番号を照らし合わせたうえで封筒に入れます。例えば名前の“郎”と“朗”が違うなど、もし字に間違いが見つかったら、職人さんに作り直してもらいます」
駒ストラップを郵送するのは1日に平均で800通ほど。阿部さんはほかに、お礼状・証明書の郵送も担当している。
「時間は朝9時から午後5時までですが、集中しすぎて目の疲れから、霞んだり頭痛がしたりします。それに封筒に入れる時に同じ動作を繰り返すので、どうしても腱鞘炎になる。力が入らなくなって、ドアノブが回せないこともありました(苦笑)。親指の付け根への湿布は欠かせません」(阿部さん)
将棋関連では、この4月に映画も上映される人気将棋漫画『3月のライオン』とのコラボが進んだ。希望者へのプレゼントとして、同作品のノベルティーグッズ、イラストが袋に描かれたお米も選べるようになった。コラボを進めたのは沼澤さん自身だったという。
「アンケートで“『3月のライオン』で天童市を知りました”というかたが結構多かったんです。私は作品を知らなかったのですが、読んでみたらすごく面白かったので、コラボできないかと広告代理店のかたに相談しました。ちょうどアニメ化と映画化の話があってなかなか先方の時間がなくて…。一昨年の夏に動き出して、コラボが決まったのは昨年3月でした」(沼澤さん)
返礼品の果物におすそ分け袋をつけるなど、さまざまなアイディアを採用するたびに作業は増えるが、それでも「天童市のファンになってもらうため」(沼澤さん)に創意工夫は欠かさない。