◆東芝には「経営がない」
今や多くの日本企業は総じて「経営力」が弱い。東芝は2006年に買収した原発メーカー・米ウェスチングハウス(WH)をめぐり2016年に7125億円の損失が発生、窮地に陥った。
東芝がWHをコントロールできていないのは明らかで、親会社として損失を保証する契約まで結んでおり、今後、損失がどこまで膨らむかわからない。まさに“原発アリ地獄”にハマってしまっている。東芝の「経営の失敗」、さらに言えば「経営の不在」が今回の事態を招いたというほかない。
「経営の不在」は日本企業の構造的問題だ。バブル崩壊後の「失われた20年」で、多くの日本企業ではアグレッシブにチャレンジする人より、経費節減やリストラに長けた人が出世するようになった。社内の空気を読むことで出世した”イエスマン”のサラリーマン社長が実に多い。結果、経営が専門化しないまま、期末の決算書を取り繕うことばかりに気を取られてしまう。
そうした日本企業特有の悪弊を断ち切るには、企業体質そのものを変えるしかない。この際、東芝は倒産させて、会社更生法を使って再生すべきだ。巨額の融資をして東芝株を持っている銀行などには大きな痛手だが、株主が負うべきリスクでもある。