米経済誌『フォーブス』が発表している「日本長者番付」の2017年版が公表された。昨年12月にカジノ法案が可決され、いよいよカジノ解禁への期待感が出てきた。そこで株価を上げ、ランキング上位に顔を見せるのがパチンコ関連企業の経営者たちだ。
パチンコ・パチスロ機の製造業では、SANKYOの毒島秀行氏が8位(総資産4660億円)、ユニバーサルエンターテインメントの岡田和生氏が18位(2440億円)、平和の石原昌幸氏が28位(1440億円)、三洋物産の金沢要求氏兄弟が44位(1070億円)、セガサミーHDの里見治氏が45位(1050億円)に入った。パチンコホールなど遊技場の経営では、マルハンの韓昌祐氏が11位(4000億円)で、ダイナムジャパンHDの佐藤洋治氏が43位(1120億円)に入っている。
今年の日本長者番付の特徴を経済ジャーナリストの福田俊之氏はこう語る。
「パチンコ業界を含めたゲームソフト関連の創業者が目立ち、また、スギ薬局(杉浦広一氏)やサンドラッグ(多田直樹・高志氏)、しまむら(島村恒俊氏)やABCマート(三木正浩氏)、ドン・キホーテHD(安田隆夫氏)、ニトリなど、ドラッグストアや小売り流通の経営者が常連でランクインしているのも相変わらず。
ほとんどのメンバーが、自社株の公開による創業者利益や、その後の配当で資産を増やした人だが、最近は創業者の資産を引き継いだ2代目、3代目が常連になりつつある。これも、日本経済の硬直を体現している」
つまり、ランキングの変化は経済構造を反映しているが、メンバーの入れ換わりが少ない点こそ、日本経済の問題点を象徴しているという指摘だ。50歳未満もトップ50に5人しかいない。世界版のランキングに目を向けると、フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグ氏が、32歳にして5位に入っており、日本に“新顔”がいないことも浮き彫りとなる。
ランキングが映す日本経済の姿を直視しなければならない。
※週刊ポスト2017年4月28日号