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山本七平 「日本人とは何か」を探求し続けた70年

「築地移転問題」や、東芝「巨額損失」問題など、組織の迷走が目につく。組織を動かすのはリーダーシップではなく、こうあってほしい、こうなるだろうという「空気」。責任の所在を問おうにも問えない。これを日本人特有の問題として摘出したのが思想家・山本七平だ。今改めて注目されるその人生を振り返る。

 1921年、東京で生まれた山本七平は青山学院大卒業後フィリピン戦線に見習士官として派遣される。激戦地で戦い、最終的には米軍に降伏し捕虜収容所に1年4か月の間収監されるも、過酷な戦線を生き延びた。復員後は療養生活を送り、1956年個人出版社山本書店を創立。キリスト教徒の両親を持ち15歳で洗礼を受けていた山本は聖書学の専門図書の出版に携わった。

 1970年に上梓した初の著書『日本人とユダヤ人』は、日本生まれのユダヤ人という設定のイザヤ・ベンダサンという筆名で書かれた。山本は終生、自分はベンダサンの代理人に過ぎないというスタンスを貫いたが、その筆致から二人が同一人物であるというのが定説だ。

 1972年、朝日新聞「南京大虐殺」報道を端緒とする「百人斬り」論争に参戦。山本は二少尉による「百人斬り競争」が行われたという記述は虚報であるとして、自らの戦争体験も踏まえて『私の中の日本軍』を山本七平名義で著した。以降、山本名義の作品を量産する。

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