◆猫の敏感さを学ぶ
――猫は人の気持ちをとても読むそうですね。マイナスな感情を出されるのも嫌がると。
人の感情や気持ちに敏感なので、こちらの不安や緊張が猫の健康に影響を与えるようなこともあります。猫たちは自分のテリトリー内で、人間に不快な感情を発散されることを望まず、いつも平和で安全快適であってほしいのです。猫は自分を映す鏡だと考えたらわかりやすいと思います。もし近寄ってこなかったら、「私ちょっとイライラしてるのかも。ごめんね、気づかせてくれてありがとうね」といった受け取り方をすると、猫との関係が変わってきます。
――首の鈴も猫にとっては苦痛なのですね。
猫は五感の中では耳が一番発達していて、人には聞き分けられない6~10万Hzの可聴域を持っています。よく所在確認のために猫の首に鈴をつけるケースがありますが、猫がどんな気持ちになるか考えてみましょう。彼らが一番キャッチする音域は、子猫の鳴き声です。高い音域を好むので、男性よりも女性の方が好かれやすいんです。
――匂いはアロマや香料の強いシャンプー、芳香剤もだめなんですね。
アロマの精油の成分が、どうも猫の体の中で代謝できないようです。私達も香水の強い匂いは嫌な匂いであるように、人間の何倍もの嗅覚を持つ猫にとって、匂いはある意味暴力になりかねません。お化粧の強い匂いや、タバコも猫はだめですね。ヘビースモーカーの家の猫は喘息になることもあります。乳幼児と同じなんです。
◆目指すは「対等」
――猫ブームについて思うことは?
あまりに過剰なブームは早く終わってほしいと思いますね。猫は人間のために存在する動物ではなく、猫は猫として生きているので、人間が勝手に癒しを求めるのは違うと思います。それから、どうしても今みたいなブームになると、やたらに猫を大事にして「猫様」にしてしまう人が増えるでしょう? 人の方も「下僕」になる方が簡単なんです。でも、猫と人は対等であるべきだと私は思います。とはいえ、この対等というのが、結構難しいんですけどね。
「ペット」という言葉もそうですが、かわいがるとか、世話をするという言い方は、全部上から目線ですよね。逆に、何でも猫の望む通りにして振りまわされるのも違うと思うんです。猫様のために家を全部改造したり、猫は1缶360円の高級缶詰を食べているのに、自分は98円のカップ麺で済ませているとかね。人間が成熟して猫と対等な関係でつきあえるようになったら、お互いの暮らしの質も良くなると思うんですよ。