◆百年に一度の大転換期
「車離れ」と言われる今も、新車は年に国内で500万台売れている。一日約1万3000程の人が「次にどの車を買おうか」と思案している現実がある。実は新成人の声の中に、さらに興味深い変化が見える。新成人千名の調査(ソニー損保2016)では、免許保有率は54.8%と半数を超え、車への興味や憧れも40.9%(同2015年)から46.2%と、都市部ではっきりと上昇傾向が見える。
若者は車に興味が無いのではなく、「所有」に飛びつかないのだ。コスパを考えカーシェアする潮流が広まっているからだ。かたや高齢化は進み、運転人口は減少していく。自動運転や安全技術の進化は「誰が運転しても安心安全」な移動のための箱作りとなり、所有欲はさらに減退していくだろう。ハイブリッド車も環境規制によってエコカー対象から外れ、今後は電気自動車の時代が到来……とまさに今、百年に一度という大転換期にある自動車業界。
そんな中だからこそ、「ノートe-POWER」を単に販売台数から見たヒット商品として捉えるだけでは、次のヒットは見えてこない。「ガソリン」と「電気」のどちらがどのように車の動力となって、車社会の未来を創り出すのか。「e-POWER」という「発明」によって切り拓かれた市場は、次を占う試金石なのだ。
※SAPIO2017年6月号