ライフ

羊肉が人気 ジンギスカンやしゃぶしゃぶで体が温まる

羊肉のしゃぶしゃぶが人気

 最近流行の「羊肉」、その典型的な調理方法の源流を辿っていくと、意外な展開になった。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 調味料から飲食店のメニューまで大人気の様相を呈しているパクチー。コンビニチェーンでも「パクチーフェア」が展開され、伝統的タイ料理を提供する店のなかには「パクチー料理ありません」と店頭に張り紙をする店まで出るほどの過熱ぶりだ。

 それにともなって相性抜群と言われる羊肉の人気もグングン上がっている。羊を主な食材に据える神田や上野、池袋などの人気の老舗に、人はますます列をなし、新規開店した店舗も上々の滑り出しとなっている。

 羊を使った業態で目立つのは、ジンギスカンやしゃぶしゃぶ、串焼きなどだ。そして国内におけるジンギスカンの本場といえば北海道──。というかそもそも海外に「ジンギスカン」という料理はないのでこの料理の本場は北海道となる。しゃぶしゃぶも同様で海外に牛肉を湯にくぐらせて、ポン酢やもみじおろしで食べる料理はないので、これもまた本場は日本となる……。

 と、大声で言い切ることができれば簡単なのだが”本場”について考え始めるときりがない。というのも、現代日本人が口にする食べ物の多くは海外にそのルーツを持つ。

 例えば、ジンギスカン。料理名として文献で最初に確認できるのは1926(大正15)年の「素人に出来る支那料理」という料理書だ。その片隅に「成吉汗斯鍋」という項目があり、「在支日本人の一部が斯(か)く命名」「本当の名前は羊烤肉(ヤンカオロー)と云う回々料理」と説明されている。「回々料理」とはイスラム料理を指す。元来、イスラム教では豚肉が禁忌とされ、羊肉は貴重な動物性タンパク源だった。

 同書で紹介されている「成吉汗斯鍋」は「本当の名前は羊烤肉(ヤンカオロー)」と明言されているように「箱火鉢か鍋のようなものに火をおこし、それに金網もしくは鉄の棒を渡し、羊肉を焙りながら、支那の醤油をつけて賞味」するとある。鍋物料理でもなければ鉄板料理でもない。鍋は「薪を燃や」すための火床として存在したのだ。つまり日本に持ち込まれた当初は、現在も一部の中国料理店にある「烤羊肉」に近い形だったと思われる。

関連記事

トピックス

現役を引退した宇野昌磨、今年1月に現役引退した本田真凜(時事通信フォト)
《電撃引退のフィギュア宇野昌磨》本田真凜との結婚より優先した「2年後の人生設計」設立した個人事務所が定めた意外な方針
NEWSポストセブン
中森明菜復活までの軌跡を辿る
【復活までの2392日】中森明菜の初代音楽ディレクターが語る『少女A』誕生秘話「彼女の歌で背筋に電流が走るのを感じた」
週刊ポスト
広末涼子と鳥羽シェフ
【幸せオーラ満開の姿】広末涼子、交際は順調 鳥羽周作シェフの誕生日に子供たちと庶民派中華でパーティー
女性セブン
世紀の婚約発表会見は東京プリンスホテルで行われた
山口百恵さんが結婚時に意見を求めた“思い出の神社”が売りに出されていた、コロナ禍で参拝客激減 アン・ルイスの紹介でキャンディーズも解散前に相談
女性セブン
期待される2人の先行きが視界不良(左から大の里、二所ノ関親方)
【角界ホープ2力士に暗雲】尊富士は横綱・照ノ富士と宮城野親方の板挟み、大の里は師匠・二所ノ関親方の管理能力に不安要素
週刊ポスト
真美子夫人は「エリー・タハリ」のスーツを着用
大谷翔平、チャリティーイベントでのファッションが物議 オーバーサイズのスーツ着用で評価は散々、“ダサい”イメージ定着の危機
女性セブン
猛追するブチギレ男性店員を止める女性スタッフ
《逆カスハラ》「おい、表出ろ!」マクドナルド柏店のブチギレ男性店員はマネージャー「ヤバいのがいると言われていた」騒動の一部始終
NEWSポストセブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者(51)。ストーカー規制法違反容疑の前科もあるという
《新宿タワマン刺殺事件》「助けて!」18階まで届いた女性の叫び声「カネ返せ、カネの問題だろ」無慈悲に刺し続けたストーカー男は愛車1500万円以上を売却していた
NEWSポストセブン
氷川きよしが独立
《真相スクープ》氷川きよしが事務所退所&活動再開 “独立金”3億円を払ってでも再出発したかった強い思い
女性セブン
殺害された宝島さん夫婦の長女内縁関係にある関根容疑者(時事通信フォト)
【むかつくっすよ】那須2遺体の首謀者・関根誠端容疑者 近隣ともトラブル「殴っておけば…」 長女内縁の夫が被害夫婦に近づいた理由
NEWSポストセブン
初となる「頂上鼎談」がついに実現!(右から江夏豊、田淵幸一、掛布雅之)
【江夏豊×田淵幸一×掛布雅之の初鼎談】ライバルたちが見た長嶋茂雄秘話「俺のミットを“カンニング”するんだよ」「バッターボックスから出てるんだよ」
週刊ポスト
曙と真剣交際していたが婚約破棄になった相原勇
《曙さん訃報後ブログ更新が途絶えて》元婚約者・相原勇、沈黙の背景に「わたしの人生を生きる」7年前の“電撃和解”
NEWSポストセブン