薬局にズラリと並んだ目薬。正式には、『OTC(一般用)点眼薬』と呼ばれ、治療のために医師が処方する『医療用点眼薬』とは異なり、日常の目の健康維持や爽快感を満たす目的で販売されている。
「OTC点眼薬は、一般点眼液、抗菌性点眼液、人工涙液、コンタクト装着液、洗眼薬の5種類に分けられます。医療用点眼薬と比べて有効成分の量が少なく、効き目がまろやかなので、副作用が出ることはほとんどありません」
と言うのは、吉野眼科クリニック(東京都台東区)院長の吉野健一さん。さまざまな症状に対応するため、複数の有効成分が組み合わされているのも特徴だ。
「症状に合ったものを選び、定められた用法・用量を守って使用する分には問題ないが、充血を取るOTC点眼薬の使い方には注意が必要です。長期的に使用すると、かえって慢性的な症状を引き起こす場合もあるので、症状が改善したら使用はやめましょう」(吉野さん、以下「」内同)
目の充血には、眼精疲労やドライアイ、ものもらいなど、さまざまな原因が考えられる。OTC点眼薬をさして数日経っても症状が改善しない場合は、眼科医を受診しよう。
◆ドライアイには防腐剤のないものを
ドライアイ用のOTC点眼薬選びは、防腐剤の有無の確認が必須だ。
「多くのOTC点眼液には、ボトルの中でカビや雑菌が繁殖するのを防ぐため、防腐剤が入っています。軽度のドライアイなら涙で防腐剤が薄まるので問題はありませんが、重度の場合は目の表面を覆う涙の量が減り、角膜が部分的に露出して、防腐剤が目の表面の細胞を傷つける可能性があります。また、ドライアイだと頻繁に点眼する必要があるため、防腐剤の影響をより受けやすくなります。防腐剤フリーの点眼薬を必ず選んで」
ドライアイの症状は目が乾くだけではなく、「目が疲れやすい」「目がしょぼしょぼする」など、人によって症状の出方はさまざま。
「OTC点眼薬には、スキッとするさし心地のものも多いのですが、この清涼感の正体は、メントールやハッカ油など。清涼感が強ければよく効くわけではありません」
清涼感の有無は好みの問題。好きなものを選べばOKだ。
※女性セブン2017年5月11・18日号