「女性セブン」連載をまとめた単行本『九十歳。何がめでたい』が83万部を突破するベストセラーとなっている佐藤愛子さんがこの度、春の叙勲で旭日小綬章を受章した。それに当たって開かれた会見には、佐藤さんの“喜びの声”を聞こうと多くの記者が集まったが、想定外の答え(?)に、終始笑いの尽きないものになった。
――今回の受章を真っ先に報告したのは誰で、どんなやりとりだった?
「報告って別に、もう友人も身内もみんな私のような歳になりますと、死に絶えてしまいまして(笑い)。独りぼっちで暮らしておりまして、一緒に孫や娘が2階におりますけれども、別にわざわざ2階まで駆け上がって報告するということもありませんので、どういうふうにしたのか忘れましたね(笑い)」
――伝えた時の、身内のかたからもらった言葉は覚えていない?
「うちの娘や孫も私の血を引いておりますし、私が育てておりますものですから、ふ~んと言っただけでした(笑い)」
――綬章を受けると決めてから、改めてご自身の作家人生を振り返って思うことは?
「私はもうとにかく、一生懸命に生きざるを得ないような、いろんなアクシデントが次々に起こってくる人間でございまして。それに対応するためにすべて力いっぱい当たらなければならない、その都度、やってきたものと戦うという姿勢で生きていますので、ちょっと今度は困りました。戦うという場合じゃありませんので、慣れてないものですから」
――これまでたくさんの小説やエッセイを書き続けてきたが、どうして長く書き続けてこられたと思う?
「だって、それは、書くこと以外にできることが何もないんですもの(笑い)。本当に無能なんですよ、すべてのことに。で、書いているわけです(笑い)。別に努力して書いているわけじゃなくて、書きたいから書いているっていうことですね」
――これまでの人生を振り返って、若い人に伝えたいことはある?
「いやあ、私の人生を伝えたって何の役にも立たないと思いますから(笑い)、何もありません」