――『九十歳。何がめでたい』には読者からのたくさんのはがきが届いているそうだが、読者にひと言伝えるとしたら?
「編集部に届いているので、私の方にはあんまり届いてないの。どういうものが届いているのか、まあ、ちょっと担当のかたが持ってこられていましたけれど、正直言って、あんまり読んでないんです(笑い)」
――何かひと言だけでも、いただければと…。
「うーん、困りましたね(笑い)。何を言おうかしら。よく私のものを読んで、勇気をもらったっていうのが割に多いんですよね。そして、佐藤さんのように私も生きたいっていうふうに書いてらっしゃるかたも多いけれども、普通の人が私のように生きたら、とんでもない人生になりますから、それはおよしになったほうがいい、反面教師として読んでくださいということですね」
――これまでいろんな賞を受賞されてきたと思うが(と、ここで質問を遮るように佐藤さんが答えて)。
「いやあ、そんなにもらってないですよ(笑い)」
――では、これまでも受賞してきた賞があると思うが、今回の受章は、これまでのものと比べて、重みや意味の違いはどんなふうに感じる?
「大変申し訳ないんですけれど、旭日……何ですか(笑い)」
――小綬章です。
「もうどういう章なのか、私、よく知らないんですよ。世間の人もあんまりご存じないんじゃないかと思うんですけれど、紫綬褒章とかいろいろありますからね。だから、どんなに重みがあるのか、軽いのか重いのか知りませんよ、私は(笑い)」
――そもそも『晩鐘』(2014年)を書いた後に、もうこれで出し尽くしたとおっしゃった。しかし、その後書かれたエッセイが今、これほど売れている。まだまだ期待してしまうが。