ところが「朴槿恵の独りメシ」の影響というわけではないが、韓国では最近、独りメシが急速に増えている。食堂でもコーヒーショップでも独り客が目につく。その結果、カウンター席など独り席の店が増えた。日本風の軽食系が人気なのもそのせいだ。社会や仕事の多様化、多忙化が背景のようだが、スマホの影響もあるかな。
小じゃれた女性がレストランでワインを片手に独りメシという風景が、今や最先端のカッコいい女性だと、マスコミが競って伝えている。現代に生きる自立した強い女性というわけだ。朴槿恵はアルコールはたしなまなかったが、この際、その「独りメシ」はむしろ先駆的でカッコよかったのだと、思ってあげたい。
文■黒田勝弘(産経新聞ソウル駐在客員論説委員)
【PROFILE】1941年生まれ。京都大学卒業。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長を経て産経新聞ソウル駐在客員論説委員。著書に『決定版どうしても“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『韓国はどこへ?』(海竜社)など多数。
※SAPIO2017年6月号