一方、純粋な民間企業への天下りもあります。その一例を挙げるので、再就職先の会社名に注目してください。
(年は退職年。左の役職名は都庁退職時の役職。右は再就職先の社名と役職名)
●2011年
・都市整備局市街地建築部長→清水建設(株)参与
・都市整備局民間住宅施策推進担当部長→大成建設(株)参与
●2012年
・都市整備局民間住宅施策推進担当部長→鹿島建設(株)東京建築支店技師長
●2013年
・流域下水道本部技術部長→東京ガス(株)環境システム担当部長
これらの再就職先には、ある共通項があります。豊洲新市場の建設を請け負った共同企業体の筆頭幹事社と、都に用地を売却した会社(東京ガス)です。上記はほんの一部であり、東京ガスは2014~2015年にかけて3名の再就職者を受け入れています。さらに、幹事社でない企業を含めこの6年間はほぼ毎年、豊洲を担当したゼネコンに幹部が天下っています。単なる偶然であるとは思えません。都民から疑義の目を向けられるような天下りは到底、容認できません。
私は小池知事の政策に対しては、「是々非々」という立場を取っています。方向性が合致するのならば私も知事を応援する心づもりはありますが、そうはいってもこの数ヶ月の知事の動きを見ていると、心配になる部分の方が大きいというのが率直な感想です。
たとえば、小池知事が東京都の「復活予算」を廃止したことが大きなニュースになりました。復活予算はこれまで都議会の大会派が、自らを支持してくれる各種団体が関わる事業に予算を付けることで、力の源泉としていたものです。つまり、一種の利権となり得るわけで、当然、廃止は評価されるべきでしょう。しかし、その後が問題でした。小池知事は、復活予算を止めた代わりに自身が団体から直接ヒアリングする方法にあらため、多くは要望を受け入れることで決着。その伝達の場は報道陣に公開されない「密室」でした。
これでは「今まであなた方が支持してきた会派ではなく、都民ファーストの会(いわゆる小池新党)を支持しなさい」というプレッシャーであると受け取られても仕方がありません。やっていることは既存の大会派と変わらないわけです。