衝撃的なトップ交代だった。5月24日、三菱東京UFJ銀行の小山田隆・頭取が体調不良で辞任、三毛兼承・副頭取の昇格が発表された。小山田氏は昨年4月に頭取に就任したばかりで、「三毛氏はもともと、頭取候補として名前が挙がっていなかった。国際畑が長い異色の頭取となった」(業界関係者)という。
同行でのトップ交代は“緊急事態”によるものだが、興味深いことに三井住友銀行でも今年4月、国際畑が長い高島誠氏が頭取に就任している。
「超低金利の時代が続き、銀行も国内の預貸事業では収益が上がらない。メガバンク各行とも海外金融機関との提携やM&Aを進め、国際事業を収益の柱にしようと試行錯誤を重ねてきた。そんななかで国際畑の経営トップ誕生が相次いだのは、ある種の“必然”のようにも思える」(同前)
数年前から金融界で着々と進んでいたビジネスモデルの大転換が、「異色のトップ誕生」というかたちで表出したとする見方だ。
もともと大手金融機関は、「三菱東京UFJ銀行の頭取は、旧三菱銀行出身で企画畑」などと出世ルートが“硬直化”した業界と認識されてきた。しかし、それも激変の最中にある。金融ジャーナリストの森岡英樹氏はいう。