伊藤さんの口から出た「マーケティング」という言葉に、一瞬違和感を感じたが、「そりゃそうだ」と思い直す。自動搬送式などの室内墓も見学に行き、「やっぱり土がいい」と求める向きも多いとか。1人用を購入した7割が女性だともいう。

 しかし、カロート(納骨スペース)に納骨するということは、「土には還れない樹木葬」ってことですか?

「いいえ。13年後もしくは33年後に、ご遺骨を合祀墓にお移しします。その合祀墓はこれから建てるのですが、下部が土。その中で、土に還れる仕組みです。『自然に帰りたい。でも、死んですぐに他の人たちのお骨と一緒になるのは嫌。個別のお参り場所がすぐになくなるのも嫌』というかたがた、実は多いんです」

 伊藤さんは、「もっと言うと」と、内実も教えてくれた。

「寺にとっても、13年後もしくは33年後に、空いた場所を再販でき、サスティナビリティ(持続可能性)がある方法なんですよ。花は順次植え替えますが、メンテナンス費もそうかかりませんし」

 なるほど、である。で、売れ行き順調です? と呑気な質問をしたら、「2013年の3月から売り出し4年と少しですが、1人用、夫婦用、家族用など計490基がすべて完売しました。来月には新しい区画の販売を始めます」

 脱帽した。

※女性セブン2017年6月15日号

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