「タグ付けはされてなかったものの、付き合ってるわけでもないのに顔写真が載るのはイヤだなと思って、すぐ電話して<写真は載せないでほしい>って言ったんです。そしたら<なんで?? 夏希ちゃんは大切な人だしかわいいから、友達に見せたいよ。“いいね!”もいっぱい付くだろうから>とか何とか言ってきたので、<やめてほしい>と強く言いました」
すると、翌日から、公一郎さんのラインが途絶えた。
「えっ、と思って。友人に相談すると、<たまにいるよ、そういう人。夏希はSNSやらないから知らないかもしれないけど、FBやインスタにアップするためだけに若い女の子と遊ぶ人。その人もそういう男だったんじゃない?>って」
納得がいかなかった夏希さんは、公一郎さんにラインを送った。FBの件には触れず、「トレッキング、楽しみにしています!」と。
しかし、返事は来なかった。その代わり、公一郎さんはこんな投稿をしていた。
<人とのつながりを何より大事にしているオレ。そのためには、自分からさらけ出していくのが大事だと思っている。相手に心を開いてもらうためには、まず自分から、っていうのが信条。そうやって、友達1000人以上っていう、何ものにも代えがたい財産を得た。そういうオレだから、写真を載せるのを拒否する人とは、どんなに好みの女のコであっても、一緒にはいられないんだ。みんな、わかってくれるよね?>
<いいね!>はやはり100件以上ついていたが、私はわからない、と夏希さんは思った。
「だって、私は友達1000人、要らないから。彼にはFBで自慢できる彼女や、FBで自慢できるコトが大事だったのかな、と思います。でも、そんな人生って楽しいのかなぁ。本末転倒というか、何か間違ってる気がして……」
リアルの世界では気が合っていたのに、SNSで価値観の違いがあらわになってしまった2人であった。