本誌・セブンズクラブ(全国の20代~80代の男性・女性、2017年4月11日~19日)の422名に聞いたところ、電車内でのベビーカー賛成が52.6%、反対47.4%となった。
イギリスで子育て中の歌手・宇多田ヒカルが、あるテレビ番組で、「東京は子育てがしにくい」と発言し、話題になった。その理由の1つが、ベビーカーを押して電車に乗った友人が、「嫌みな言葉」をかけられたという体験談を聞いたからだ。
日本の公共交通機関では、ベビーカーをたたまずに乗っていいことになっているものの、現実には、そのルールが広く知られていない。しかも、最近のベビーカーは大型化が進んでいるため、たたまないで堂々と乗る親子に“邪魔だから”などの理由で嫌悪感を持つ人は多いと、「公共交通機関等におけるベビーカー利用に関する協議会」メンバーで神戸女子大学家政学部助手の西本由紀子さんは言う。
西本さんは、公共交通機関でのベビーカー優先スペースの設置などに努めてきた。その一方で、ベビーカー利用者のマナーも大事だと主張する。
「電車内でベビーカーをたたまずに使う場合、他の同乗者への配慮が必要。また、子供の安全を第一に考えれば、車輪を固定し、手を添えて。スマホやママ友との話に夢中で、子供から目を離すような行為はやめてほしい」(西本さん)
一方、保育施設りんごの木代表の柴田愛子さんは、母親が電車内で肩身の狭い思いをすることに疑問を投げかける。
「働く母親は、保育園に入れないと、ベビーカーを押して通勤し、会社の近くに預けるしかありません。車内のベビーカーを問題視する前に、時差出勤にするなど社会の仕組みを変えるべき」(柴田さん)
かつては電車内でベビーカーをたたむのがあたり前だったことを、今の母親たちが知ること。そして同乗者への配慮は確かに必要だが、子供を抱いて重い荷物を抱えた母親を、温かく見守れる社会もまた、素敵ではないだろうか。
※女性セブン2017年6月22日号