「食べる量がそれほど増やせないのならば、栄養素をロスしないように調理し、効率よく体内に吸収することが大切です。切り方や保存の仕方、調理法をちょっと工夫するだけで、格段に変わりますよ」
ビタミンやミネラルの吸収率は、年齢を重ねるほどに下がっていくため、高齢者ほど効率のいい摂り方が必要になる。では、実際にはどうすればいいのか見ていこう。
野菜は切ると、その切り口から栄養素の大部分が外に出ていってしまうもの。栄養素の流出を避けるには、細胞をできるだけ壊さないように切ること、つまり、繊維に沿って切ることが大切だ。一般的に、野菜の繊維は縦方向に走っている。縦切りを心がけると繊維を断ち切ることなく、細胞の破壊も防げる。これなら多少加熱しても、栄養の損失が抑えられる。
野菜を切った後、アクや辛みなどのクセを取り除くために水にさらすことがある。だがこれでは、アクや辛みと一緒にビタミンCなどの水溶性の栄養素も流出してしまう。アクなどを抜きたい場合は、塩を振って10分ほど置き、軽く水洗いするといい。
栄養素によっては、細かく刻むことで活性化する成分もある。玉ねぎの辛み成分である「硫化アリル」は、空気に触れることで血液をさらさらにする成分「アリシン」に変化するため、みじん切りやおろすことで効果が高まる。また、大根の辛み成分「イソチアシアネート」は、細胞を傷つけることで活性するためおろすのがおすすめ。だが、15分後には効果が半減するので注意を。
玉ねぎやにんにく、にらの根元に含まれる「アリシン」は、空気に触れることで活性化するため、刻んで10分後が最も健康効果が高い。加熱して使う場合は、切った10分後に油で軽く1分程度炒めた後、煮物やスープなどにするのがおすすめだ。
※女性セブン2017年6月22日号