ライフ

豆富料理の名店「笹乃雪」 宮様も賞したあんかけ豆富秘話

創業326年、笹乃雪の「朝顔御膳」

 東京・台東区の根岸で320年以上続く豆富料理「笹乃雪」。「80年ほど前、9代目の当主が、料理に“腐る”はふさわしくないと“富む” の字を用いるようになった」と、11代目当主の奥村喜一郎氏。初代の当主は、宮様(111代後西天皇の第6皇子・公弁法親王)のお供をして京から江戸に移り、初めて「絹ごし豆富」を作った。今も当時の製法を引き継ぎ、井戸水と天然にがりを使用する。

「笹乃雪」の店名は、「笹の上に積もりし雪の如き美しさよ」と宮様が賞したことに由来。「今後は2碗ずつ持ってくるように」と申しつけたという名物「あんかけ豆富」は、2碗セットで供される。

 赤穂浪士も口にしたという豆富。一番人気の「朝顔御膳」(2800円)は、生盛膾(いけもりなます)の白酢あえ、あんかけ豆富(2碗)、胡麻豆富、絹揚げ、蒸し物、冷奴、豆富茶漬け、豆富アイスの8品。1階のテーブル席では中庭を眺めながら豆富料理を味わうことができ、店内には根岸ゆかりの文人墨客の貴重な書画が展示されている。

〈水無月や 根岸涼しき 篠の雪〉──入口の左手には正岡子規直筆の句碑が残る。子規も愛した「あんかけ豆富」を口に含むと、ひと足早い夏の香りとともに大豆の旨味が口いっぱいに広がる。

【笹乃雪】
住所:東京都台東区根岸2-15-10
営業時間:11時半~20時(LO)※予約可(個室は要予約)
休日:月曜(祝日の場合は営業し翌日休み)

撮影■岩本朗 取材・文■戸田梨恵

※週刊ポスト2017年6月23日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
麻辣湯を中心とした中国発の飲食チェーン『楊國福』で撮影された動画が物議を醸している(HP/Instagramより)
〈まさかスープに入れてないよね、、、〉人気の麻辣湯店『楊國福』で「厨房の床で牛骨叩き割り」動画が拡散、店舗オーナーが語った実情「当日、料理長がいなくて」
NEWSポストセブン
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト
50歳で「アンパンマン」を描き始めたやなせたかし氏(時事通信フォト)
《巨大なアンパンマン経済圏》累計市場規模は約6.6兆円…! スパイダーマンやバットマンより稼ぎ出す背景に「ミュージアム」の存在
NEWSポストセブン
保護者を裏切った森山勇二容疑者
盗撮逮捕教師“リーダー格”森山勇二容疑者在籍の小学校は名古屋市内で有数の「性教育推進校」だった 外部の団体に委託して『思春期セミナー』を開催
週刊ポスト
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 万引き逮捕の350勝投手が独占懺悔告白ほか
NEWSポストセブン