9月初頭の収穫期を目前に台風で畑は水没。本来ならじゃがいもを収穫して、次の作物を植えたい季節なのに、収穫がままならないばかりか、ぬかるみがひどく畑には重機すら入れない。台風が十勝に残したダメージは尾を引いた。輪作という北海道を支える生産サイクルが崩れ、収量2割減は当たり前。天候に左右される生業ということがわかってはいても、不安にかられながら今年の植つけを行った農家も少なくないという。
実は今回のポテトチップスの販売再開に至ったのも、北海道産じゃがいもの生産量回復が理由ではない。最大の理由は5月中旬に九州でじゃがいもの収穫が始まったこと。あくまで他の産地からの供給が確保されたにすぎず、いまだ北海道の傷跡が癒えたわけではない。
昨年までの10年間で、出荷量が約3割増だったというポテトチップス。好事魔多しとは言うものの、あまりに甚大だった台風被害からの北海道産じゃがいもの本格的な復活はこれからの話。ポテトチップスの販売再開というニュースの向こう側には、大自然のなかで奮闘する生産者がいる。