似たような事件が何年か前にあった。あるテーマパークで来場者十万人目の記念品を手渡そうとしたところ、一見して知的障害者だと分かったため、その人を飛ばして後ろの十万一人目の人に渡した。同伴の家族らの抗議があり、パーク側では謝罪し、改めて記念品を贈呈した。こんな事件だった。
こちらの事件は、構造は簡単である。パーク側の対応は明らかに知的障害者差別である。来場した障害者に記念品を渡すのをやめる理由は、どこにもない。パーク側は非難されて当然だろう。
一方、各務原市長選挙の例はどうか。実は、障害者側の抗議は法的には完全に正しいし、選管が不備を認め謝罪したのも当然なのである。
朝日新聞の記事は説明が簡略で抽象的だが、注意して読むと、抗議の正当性も選管側の不適切もちゃんと書かれている。母親と障害者は期日前投票所で代理投票をしようとした。期日前投票も代理投票も公選法で認められており、国民の基本的権利である。ただし、公正・正確を期すため、宣誓書記入や本人確認が求められる。ところが、この知的障害者は「生年月日、住所が言えない」。それで選管職員は投票を拒んだ。
しかし、本人確認は口頭で生年月日・住所を告げなくても療育手帳などを提示すればできる。そのことを職員は知らなかったか等閑視した。非難も謝罪も当然なのである。