米大統領の健康を徹底管理し、万一の際にはあらゆる手段で大統領の命を救う。それが大統領専属医師団「WHMU(ホワイトハウス・メディカル・ユニット)」に与えられた使命だ。在米ジャーナリストの武末幸繁氏が、知られざるWHMUの実態を明かす。
* * *
WHMUは大統領と副大統領、およびその家族の健康管理を行い、病気やケガをした場合は手術を含めた最高レベルの治療を行う「スーパー・ドクター」集団だ。
WHMUは、大統領の移動手段や食事、医療などを担当する「ホワイトハウス軍事局」の所属で、基本的な人員は、医師5名、看護師5名、医師アシスタント(PA)5名、救急医療隊員(衛生兵)3名、事務管理者3名とIT管理者1名の計22名で構成される。
WHMUは大統領の移動に常に同行する。大統領専用機のエアフォース・ワンにはホワイトハウスと同等の医療設備が備えられ、上空での緊急手術にも対応可能だ。
また、車での移動時にはドクター・カーを帯同。大統領が車から離れる際、医師は薬品と医療器具一式を詰めたバックパックを背負って大統領に付き添う。万が一の場合はその場での手術も辞さず、こうした体制は「モバイル・オペレーティング・スイート(移動型手術室)」と呼ばれている。