在米ジャーナリストの武末幸繁氏


 大統領の移動時、本人と同じ型の輸血用血液が携行されることは広く知られているが、近年では放射性物質による攻撃やバイオテロを想定し、被曝治療のための薬剤や解毒剤なども携行しているという。

 また大統領が外遊や国内各都市を訪問する際、WHMUは訪問先や移動ルート上に高度な医療施設があるかを詳細に調査。あらかじめ選定した病院の医師と面会し、医療措置が必要になった場合の綿密なシミュレーションを行っている。

 1981年の「レーガン大統領狙撃事件」では、こうしたホワイトハウス・ドクターの活躍が大いに評価された。

 当時の大統領主治医は脳神経外科医のダニエル・A・ルーゲ氏。大統領は被弾し、銃弾は肺の奥深くで止まり内出血を起こしていた。

 一刻を争う容態を瞬時に把握したルーゲ氏は、直ちに最寄りのジョージ・ワシントン大学病院への搬送を指示。WHMU所属の外科医をはじめ最高レベルの医師の到着を待たず、大学病院の緊急救命チームに弾丸摘出手術を行わせた。この間、わずか数十分。WHMUが十分なシミュレーションを行っていたからこそ為せた技だ。

 大統領は瀕死の重傷を負いながらも12日後に完全復帰。臨機応変なルーゲ氏の判断は大いに賞賛された。

 しかし、後にルーゲ氏は「このとき、大統領権限委譲のための『第25条第3項』を議会に諮るべきだった」と回想している。

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